視力検査の時に「大体で良いですから言って下さい」と言われました。
いい加減だと思いました。

当院の視力検査について、上記のようなご指摘を受けました。

検査技師の説明不足と不十分な応対により、患者様に不愉快な思いをさせてしまいましたことをお詫び致しますとともに、下記に視力検査についてご説明させて頂きます。

視力検査は 「大体見えていれば良い」 って本当ですか

本当です。 ぼんやりと見えていれば良いのです

驚かれるかもしれませんが、「C」に似た視力検査の指標(ランドルト環)を「鮮明に」 見えることが 「視力」 の定義ではありません。

ランドルト環は 「はっきり」 「くっきり」 見えていなくても良いのです。
「だいたい」 「なんとなく」 この方向が切れているなぁ  という程度でも輪の切れ目がわかるなら、眼科ではそれを 「見えている」 と判断します。

ですから 「ぼんやり」 とでも 輪の切れ目が分かればお答え下さい。

ぼんやりとした視力は正確ではないのでは?

曖昧に答えたものは正確な視力ではないのでは?と心配されるかもしれません。
もちろん、輪の切れ目が認識出来なければ意味がありません。
わからない時は「わかりません」とお答えください。

ですが、そこで
「なんとなくでも 見えませんか?」
「ぼんやりとでも 輪の切れ目がわかりませんか?」    と
検査員がお声かけすることにより、
患者様のより正確な視力を測るお手伝いをしています。

例えば ランドルト環を 「はっきりわかったら答える」 ことにします。
大抵の方は 「切れ目がはっきり」 わかれば答えるでしょう。
しかし慎重な性格の方は 「輪郭までくっきり」 しなければならないと思うかもしれません

少しでも視力を良くしたいと思う方は、
「切れ目が分かるギリギリ」まで答えるでしょう。

「間違える」 ことを過度に回避しようとする方は、
確実に分かるものしか答えないでしょう。

このように 「はっきり見える」 という感覚は、
個人によって差が出やすいのです。
これでは、本当の視力が測れません。

対して 「ぼんやり見える」 という感覚は比較的個人差が少なく、
患者様の主観によって検査結果が左右されることを防ぐことができます。

「ぼんやり」 でも 輪の切れ目が分かるかどうかが重要なのです。

また、視力表には指標が5つあります。
そのうち3つ以上正解したときに、その視力となりますので、
偶然2つ見えたとしてもそれは患者様の視力にはならないのです。

「わかりません」 「見えません」 という結果で終わってしまう視力検査は

 必ずしも正確な結果を伴うわけではないのです

検査員は患者様の最大限の視力を正確に測定しております。
安心してゆっくり検査を受けて下さい。

全員にお声かけしているわけではありません

視力が良い方(1.0以上)や、前回の視力とほぼ変わりがない場合などは、
「なんとなくでも見えませんか?」等といったお声掛けは基本的には致しません。

    ・ 最近急激に視力が低下した
    ・ 眼を強打した、異物が入った
    ・ まぶしくて見えづらい        等々

上記のような見え方に問題がある症状で受診された場合には、お声を掛けさせて頂くことが多くなります。

視力検査には大きく分けて、裸眼視力と矯正視力があります。
裸眼視力はメガネ等をつけない状態で測定した視力です。
一方、矯正視力は近視・遠視・乱視などで生じる見え方のぼやけをレンズで矯正して網膜にピントがきちんとあっている状態で測定した視力です。

眼科では、この 「矯正視力」 が重要になります。

裸眼の視力は悪くても、矯正視力が良ければ一般的に問題は少ないと考えます。

逆に矯正視力の値が悪いと、何かしら眼に病気があると推察できます。

ですので、検査員は患者様の病状を伺い、
矯正視力が思いのほか悪かったりすると、
病気の有無を確認するための正確な資料となるべく、レンズを調整しながら患者様の視力を最大限に引き出していくのです。

視力検査は 「どこまで見えるか」 を検査するだけではなく

 「どこで見間違えるのか」 を測る重要な検査です

検査時間が長くなることもありますが、どうぞお付き合い下さい。

視力検査でやってはいけないこと

視力検査中、してはいけないことが一つあります。

目を細めて見てはいけません。

目を細くすると、目に入る光を調節し、ゆがみを減らす効果があります。
そのため一時的に視力が良くなりますが、それは本当の視力ではありません。

また、頑張りすぎて目を見開いたままの方も多いですが、
目はまばたきが減ると一時的に見えにくくなることがあります。

検査中はリラックスし、まばたきを意識的にすると良いでしょう。

メガネは強すぎるレンズで合わせると眼痛や頭痛の原因となりますが、
基本的にご本人の用途に合った処方を致します。
患者様の見え方を聞きながら、かけ心地を重視しますので、
メガネ合わせの時には、検査員にご要望を詳しくお伝え下さい。

山口祐司院長 日本眼科学会眼科専門医 認定番号14358